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途上国が陥る債務の罠<続編>

香港国家安全維持法で53カ国が中国を支持した理由は?

6月末に行われた香港国家安全維持法に対する国連人権理事会で、中国を批判する側は日本を含めた欧米27カ国で、53カ国が中国を支持し、国連の票の多くを既に中国が握っている事実が明白になりました。中国を支持したのはキューバやパキスタン、カンボジア、アフリカ諸国などです。

王族支配の中東産油国や強権政治の国を除くと、中国が開発資金の融資などで支援する国が中国支援に名を連ねました。米中でカップリングが進む中、支援国家の数では、既にアメリカよりも中国が圧倒的に優勢に立っているのです。

AI TRUSTでは3月頭に途上国が陥る債務の罠について記事にしましたが、現在の最新状況をまとめてみました。

まずは最初にこちらの記事からお読み下さい。

中国経済
中国の恐るべし借金漬け外交とは?新興国、途上国が債務の罠に!中国の借金漬け外交で世界を握ろうとする中国 中国が行う世界の新興国、途上国に対しての融資は債務の罠への仕掛けなのか? 中国の借金...

68カ国への貸付が4年間で倍増

中国の発展途上国68カ国向けの貸し付けは2018年末までの4年間で倍増しています。これは既に世界最大の開発援助機関である世界銀行の貸付額に近づく数字です。中国の融資は金利も高く、この融資により、政策やインフラ運営を縛りつける、新興国・途上国にとっての債務のワナとなっており、これによって国際秩序も揺るがす状況になっています。

世銀を通じて初めて中国が初めて開示した途上国68カ国への融資状況は、2018年末の残高は1,017億ドルに達しました。この額は4年間で1.9倍に急増し、世界銀行の貸付額である1,037億ドルにほぼ並ぶ状況まで急増しました。この4年間での世界銀行の貸付額は4割増にとどまっています。世界銀行の貸付金利は1%程度ですが、中国の貸付金利は平均して3.5%と非常に高く、高い金利が各国の首を締める状況になっています。

高金利でも中国に頼る専制国家

世界銀行などから融資の条件として財政規律が基本的に求められるため、特に途上国は専制国家も多く、これを嫌う傾向にあります。(専制国家とは? 支配者が独断で思いのままに事を決する政治のことを言います。 専制支配、若しくは専政とも称されます。)

途上国各国が金利が高くても中国を頼るのは、こうした制約が少ないことが大きな理由となりますが、専制国家であるからこそ、多額の賄賂が渡されているとも考えられ、腐敗による中国圧力支配が高まるのであれば、世界の平和的安定は保たれなくなるリスクが高いと考えるべきでしょう。

一帯一路で各国への影響力をより大きくする

中国は広域経済圏構想「一帯一路」を掲げて、アジアから中東までの各国に、鉄道や港湾の建設資金を融資し、中国国有企業の受注などで自国の経済や外交、安全保障上の利益も得ています。

しかし既に多くの国が返済に行き詰まっており、返済できなかったスリランカは主要港湾を中国国有企業に99年間もリースする事態に陥りました。アフリカ各国は中国への返済への猶予交渉もしており、中国が自ら債務の罠に嵌っている場合も多くでてきており、これも中国不安定化のリスク要因と考える必要があります。

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GDPの39%も中国から借り入れるジプチ

中国から借入を行っている68カ国のうち、14カ国が国内総生産(GDP)の1割を超える額まで借入額が膨れ上がっています。アフリカ東部のジブチでは39%に既に39%にまで達しています。

そして借入がGDPの5%以上に達した26カ国をみると、過半数の14カ国が国連人権理事会で中国支持に回っていますので、多額の借金を立てに中国が支持を迫ったと考えるのが妥当でしょう。反中国に回れば追加融資を受けることはできなくなるリスクが高いわけですから。

人民元の基軸通貨化を中国は狙っている

中国の狙いは新興国、途上国への融資を通じて人民元の国際化、世界の基軸通貨に加わることもあるでしょう。米ドルで貸した途上国向けの債務を、一部免除する代わりに人民元建てに切り替える案が中国国内で浮上しているとも指摘されており、債務削減という飴につられ、人民元建てに切り替える国は出てくると想像できます。

米中のTEC分野でのデカップリングが進む中、中国からの借入をする68カ国の多くが中国のIT技術を選択することになれば、決済システムではアリババのアリペイが普及する可能性が高くなりますし、そしてデジタル人民元もいよいよ視野に入ってきます。中国批判をすることは簡単ですが、これは国家間の問題でありますし、個人が関与できる問題ではありません。個々人は投資のチャンスが何処にあるのかをしっかりと読み解くべきでしょう。

デジタル人民元の実現が世界にもたらす影響世界が脅威するデジタル人民元 2019年末、中国の政府系シンクタンクの幹部が「デジタル人民元」構想に言及し、「中国人民銀行(=中国の中...

アントに注目する理由は?

そしてやはり注目すべきはアリペイの親会社であるアントの上場にあります。中国の世界戦略の中心の一つにあるのがアリペイというスマホ決済にあることは間違いないと思います。

香港国家安全維持法を嫌気し、資金の国外流出が続く香港ですが、これを食い止め魅力的な金融市場と再認識させるためにはアントの上場を大成功に収める必要があります。国策的な形での価格形成もされていくのではないか?とも考えています。

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チャーリーTAKA
チャーリーTAKA
日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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