米から締め出されるファーウェイ
米連邦通信委員会(FCC)は16日、ファーウェイとZTEを米国市場から排除する取り組みを進める中、国家安全保障上のリスクがあるとみなされる通信機器のリストを作成するプロセスを開始しました。
FCCは先に、両社を国家安全保障上の脅威に指定し、連邦政府の補助金を両社製の機器の購入などに充てることはできなくなるとしていました。これにより今後世界経済がどのような影響を受けるのか?本日はこの点に焦点を充ててみたいと思います。

中国に全ての情報が収集されるリスク
米国では、ファーウェイ社製機器は信頼性があり低価格だとして、主に地方の小規模通信事業者に使われていますが、今回の方針によりこれらも全て入れ替えられていくことになります。
FCCのアジット・パイ委員長は「証拠の重みがこの決定を支えており、政府諸機関と上院、下院の議員は以前から「これら中国のテクノロジー大企業は中国法の下にあるため、中国の情報機関に対する協力義務というリスクを抱えている」と主張してきたといいます。「我々は中国共産党が米国のネットワークの脆弱性を悪用して重要な通信インフラ侵入することを許すことはできないし、許すつもりもない」とも述べています。
ファーウェイとZTEはこうした指摘をその都度否定していますが、米側は多くの証拠を既に掴んでいるのでしょう。FCCの「国家安全保障上の脅威」という指定は発表と同時に発効しましたが、ファーウェイ、ZTEの締め出しはすでに実施されているため、今回の指定が具体的に現状をどう変えるかはまだ明らかではありません。

イギリス:ファーウェイ設備購入禁止へ
イギリス政府は14日、通信各社に対し、来年以降はファーウェイの第5世代移動通信システム(5G)向け設備の購入を禁止すると発表しました。すでに購入していた場合でも、2027年までに通信網から撤去する必要があるとしています。
この決定により、イギリス全土での5Gの展開は約1年遅れることが予測されていまが、展開の遅れより、情報漏えいリスクが高いことへの懸念から今回の判断がなされました。アメリカとイギリスの間で、何らかの情報共有がされていると考えるべきであり、日本も他人事ではありません。
米大手企業が中国に操られる手先になっている
バー米司法長官は16日、ウォルト・ディズニーやアップルなどの主要米企業が中国に操られた手先となり、欧米の民主主義的価値を犠牲にして中国政府に影響力と富の蓄積を許していると指摘しました。
米国企業は危険性を理解しなければならないと述べ、 中国共産党は数十年、数世紀の観点で考えるが、われわれは次の四半期の決算発表を重視する傾向があると付け加えており、目先の利益を追うことにより、結果的に中国に大きな利を与えることへの懸念を表明しています。
中国に操られる米企業の一例として娯楽大手ディズニーを挙げ、同社の映画を一時期上映禁止とした中国政府からの要求に屈したと指摘しています。上海に建設したテーマパークの管理で中国当局者に役割を与えることに同意した点にも触れ、その結果として、白雪姫などディズニーのキャラクターに非常によく似たキャラクターが目玉の中国所有テーマパークが他の都市にオープンしたと付け加えています。
バー長官はさらに、ニュースアプリの「Quartz」をアップルが中国のアップストアから最近除外した点にも触れ、中国政府が先に、香港の民主派の抗議活動に関する同アプリの報道について苦言を呈していたと述べました。また、中国によるインターネットアクセス制限を回避するため利用できたVPNアプリなどをアップルが削除したとも指摘しています。
目先の利益を追うことで長期的に中国に利益を与えることに
米大手各社は中国という巨大市場に進出し、そこで大きな利益を上げるために、結果的に中国政府の言いなりになり、それにより長期的には中国の利益に加担する形となっていると指摘しているわけで、日本の多くの企業が中国に進出し、結果的に中国に技術を早々に盗まれてしまった事から考えても、中国の戦略は明確であり、このリスクは計り知れません。
日本の新幹線の技術は全て盗まれ、中国は自国の技術として世界に輸出しています。(こちらについては多くが失敗していますが)
株式市場に与える影響は?
中国に進出する日本を含む欧米企業が今後中国とどのような距離感でビジネスを進めていくのか? 欧米各国が中国との取引に対してどのような規制をかけるのか? これによって各社の業績にも深刻な影響を与えることになりますので、この点には注視する必要があります。特にApple社は製造面も含めて影響は大きいです。

製造は自国に回帰する
日本政府は、マスクやアルコール消毒液など、中国に一極集中している工場を国内に移す企業などに合わせておよそ700億円を補助する方針を固め、発表しました。生産拠点を分散させてサプライチェーンの強化につなげたい考えからくるものですが、今後この流れは加速されると考えたほうが良いでしょう。特に米企業については政府の方針により、中国からの撤退は加速することになるでしょう。
欧米各国での自国生産はコスト高につながりますが、防衛戦略上でも重要ですし、世界中での需要に対するモノの生産能力過剰な状況は、特に中国を中心として起こりましたので、この流れが崩れる事により、先進国でも物価の上昇が数年単位で起こることも想定すべきでしょう。

中国のゾンビ企業の破綻リスクにも備えよ
そして中国の製造業の多くがこれによりダメージを受けて破綻する先が増えることも予想されます。中国政府、地方政府がそれを支え続けることになれば、ゾンビ企業がますます増えて、不良債権額も大きくなり、それが経済破綻リスクにつながることも理解しておきましょう。

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